愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。
20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
負担付贈与という言葉をご存じでしょうか?
負担付贈与に該当すると「財産をもらう側」も「財産をあげる側」も税金がかかるという恐ろしいものです。
今回はそんな恐ろしい税金のかかり方をする負担付贈与について解説していきます。
負担付贈与とは
負担付贈与(ふたんつきぞうよ)とは、借金を代わりに返してもらうことを条件に財産を贈与することをいいます。
このようなイメージです↓↓
【負担付贈与の例】
太郎さんは銀行借入金1,000万円あったが、一郎さんに代わりに返済してもらった。
その代わりに太郎さんが持っている土地(時価1,500万円)を一郎さんに贈与した。
負担付贈与を受けた人の税金
個人から負担付贈与を受けた場合は贈与財産の価額から負担額を控除した価額に課税されることになります。
つまり、もらった財産の金額から代わりに返済した借金の差額に贈与税が課税されることになります。
先程の例にあてはめると↓↓のようなイメージです。
【負担付贈与を受けた人にかかる贈与税の計算方法】
(贈与財産の価額)-(負担した価額)
1,500万円-1,000万円=500万円
よって、500万円が贈与税の課税対象になる。
ここで一つ注意点があります。
通常、贈与税の計算をするうえでは贈与を受けた財産の価額は財産評価基本通達で評価した金額を使用します。
しかし、負担付贈与によって取得した財産が下記に該当する場合には財産評価基本通達で評価することができず、下記の価額で評価することになります。
【土地及び土地の上に存する権利(土地等)】
通常の取引価額
※贈与者が取得した当該土地等に係る取得価額が当該課税時期における通常の取引価額に相当すると認められる場合には、当該取得価額に相当する金額によって評価できる。
【家屋及びその附属設備又は構築物(家屋等)】
通常の取引価額
※贈与者が取得又は新築した当該家屋等に係る取得価額が当該課税時期における通常の取引価額に相当すると認められる場合には、当該取得価額に相当する金額によって評価できる。
負担付贈与をした人の税金
負担付贈与をした人はその負担付贈与によって得た経済的利益がある場合にはその経済的利益を収入金額とする「資産の譲渡」を行ったこととされる。
つまり、代わりに返済してもらった借金の金額で資産の譲渡を行ったことになります。
先程の例にあてはめると↓↓のようなイメージです。
【負担付贈与をした人にかかる所得税の計算方法】
(資産の譲渡にかかる収入金額)=(経済的利益)
よって、1,000万円で土地の譲渡を行ったものとして所得税が課税される。
まとめ
いかがでしたか?
負担付贈与がいかに複雑な税制かご理解いただけたと思います。
最後にもう一つオマケ情報です。
負担付贈与があった場合においてその負担額が第三者の利益に帰すときは、第三者は負担額に相当する金額を贈与により取得したことになります。
要約するとこんなイメージです↓↓
【第三者にも課税される例】
太郎さんは一郎さんが第三者(エックス)に1,000万円支払うことを条件に土地(時価1,500万円)を一郎さんに贈与した。
【第三者への課税】
第三者(エックス)は1,000万円の贈与を受けたとして贈与税が課税される。
予期せぬ税金が課税されないように負担付贈与を行う場合には事前に税理士に相談するようにしましょう!
名古屋の相続専門家集団レクサーでは生前贈与のサポートも行っておりますのでお気軽にご相談下さい。