愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。
20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
婚姻して新たな生活を営み始めるときには様々な出費がつきものです。
例えば、新居の家具、寝具、家電製品等の家具什器等は必要不可欠でしょう。
結婚式や披露宴を行う場合には数百万円かかることもあります。
「子供の門出に資金的な援助をしてあげたい」
と思う方もいらっしゃるかと思います。
今回は、そんな結婚に伴って親から金品の贈与を受けた場合に贈与税を支払わなければならないのかQ&A形式でお答えしていきます。
Q1 結婚にあたって親に家具、家電を購入してもらいました。贈与税の対象となりますか?
A1 原則は贈与税の対象になりません。
婚姻後の生活で使用するための家具や家電を親に購入してもらった場合には原則として贈与税の対象とはされません。
ただし、家具・家電等の購入費用として金銭の贈与を受けた場合には注意が必要です。
例えば、家具什器等の購入に充てるために200万円の贈与をうけたが、50万円しか使わずに残りは貯金に回してしまったというようなケースには貯金に回した150万円部分が贈与税の対象とされます。
貯金以外にも株式の購入や住宅の購入に回した場合にも同様に贈与税が課せられますので注意が必要です。
Q2 結婚式や披露宴の費用を親に負担してもらいました。贈与税の対象となりますか?
A2 贈与税の課税対象とはなりません。
そもそも結婚式や披露宴の費用負担については新郎、新婦、新郎の親、新婦の親など誰がその費用を負担するのかは、地域の慣習や招待客の人数や関係性、結婚式や披露宴の内容によって様々です。
つまり、誰が負担すべき費用というルールがないため、親が結婚式や披露宴の費用を支払ったとしてもそもそも贈与には該当しないと考えられます。
Q3 根拠を教えてください!!
A3 わかりました!
今回のQ&Aの回答の根拠は「相続税法第21条の3第1項第2号」と「相続税法基本通達21の3-5、21の3-9」です。
相続税法第21条の3第1項第2号は贈与税がかからないものについて規定されていて、そのうちの一つがこの規定です。実際の条文にはこのように規定されています。
「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」
相続税法基本通達21の3-5
「法第21条の3第1項の規定により生活費又は教育費に充てるためのものとして贈与税の課税価格に算入しない財産は、生活費又は教育費として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産をいうものとする。したがって、生活費又は教育費の名義で取得した財産を預貯金した場合又は株式の買入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合における当該預貯金又は買入代金等の金額は、通常必要と認められるもの以外のものとして取り扱うものとする。」
つまり、扶養義務者が日常生活に必要な費用や治療費、養育費、教育費を負担しても贈与税は課せられないということです。
なお、扶養義務者とは
①配偶者
②直系血族及び兄弟姉妹
③家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
④三親等内の親族で生計を一にする者
のことをいいます。
これだけでは少しわかりづらいので、さらに詳しく書かれた規定があります。
相続税法基本通達21の3-9
「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。」
つまり、結婚祝等の金品は社会的慣行として一般的に行われているため、贈与税の対象にしないということです。
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