愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。
20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
最近は相続開始前に老人ホームに入所しているケースが増えてきました。
そこで、老人ホームに入所している方が亡くなった場合に小規模宅地特例が使えるのか解説していきます。
小規模宅地特例が適用できる場合には土地の評価額が330㎡まで80%減額した金額で相続税の計算をすることができますので、節税効果は絶大です。
逆に本当は小規模宅地特例が使えない土地に適用をしてしまうと、後日税務署から加算税や延滞税といったペナルティを課されることになりますので注意しましょう!
小規模宅地特例が使える三つの条件
老人ホームへの入所で空き家になった場合であっても、三つの条件をクリアすることで小規模宅地特例を使うことができます。
条件①相続開始時に要介護又は要支援であること
小規模宅地特例を使うためには被相続人が相続開始時(死亡時)に要介護認定又は要支援認定を受けていることが条件となります。
ここでポイントなのが「相続開始時」で判定するということです。
例えば、老人ホームに入所したときは健康な状態であっても、相続開始時に要介護認定や要支援認定を受けていれば小規模宅地特例が使えるということです。
イメージとしてはこんな感じです。
では、要介護認定の申請中に死亡した場合についてはどうでしょう?
この場合には、相続開始後に被相続人に要介護認定があったときは小規模宅地特例を使うことができます。
なぜなら、要介護認定等はその申請のあった日にさかのぼってその効力が生じるもので、要介護認定等が行われる場合、市町村は、被相続人の生前に心身の状況等の調査を行っていることから、被相続人が、相続の開始の直前において介護又は支援を必要とする状態にあったことは明らかであると認められるからです。
相続開始の直前に要介護認定等の申請を行っている場合でも、その後に要介護認定等を受けていれば相続開始の直前に要介護認定や要支援認定を受けていることという条件を満たすことができますので、見落としが無いように注意が必要です。
要介護認定等の申請中に相続が発生した場合の取り扱いについては国税庁も質疑応答事例として公開していますので興味のある方はコチラの国税庁の記事も参考にしてみて下さい!
『老人ホームに入所していた被相続人が要介護認定の申請中に死亡した場合の小規模宅地等の特例』
②一定の老人ホームに入所していること
小規模宅地特例が使える老人ホームは一定のものに限定されており、下記の条件に適合している場合のみが小規模宅地特例を適合することができます。
イ)老人福祉法第5条の2第6項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、同法第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム又は同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム
ロ)介護保険法第8条第28項に規定する介護老人保健施設又は同条第29項に規定する介護医療院
ハ)高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅(イの有料老人ホームを除きます。)
少し分かりづらいですよね...
実際にはほとんどの老人ホームが上記のどれかに当てはまるため問題ないでしょう。
ただし、無許可の老人ホームの場合には上記に当てはまらず、小規模宅地特例も使えないということになりますのでご注意を!
③老人ホーム入所後に賃貸していないこと&生計別親族が引っ越してきて使っていないこと
最後の条件は老人ホームへの入所後に事業の用に使用していないことです。
例えば、老人ホームへの入所によって自宅が空き家になってしまったため、貸し付けを行ったような場合には居住用宅地としては小規模宅地特例が使えないことになり、貸付事業用として小規模宅地特例の適用を検討することになります。
また、老人ホーム入所前に生計別親族が引っ越してきて使っている場合も小規模宅地特例が使えないことになります。
まとめ
老人ホームに入所している方が亡くなった場合でも一定の条件を満たすことで小規模宅地特例を使うことができます。
小規模宅地特例は節税効果が大きい反面、適用の判定が難しい制度です。
本来使えるのに使わなかった場合でも後日の修正はできませんし、逆に本来使えない土地に使った場合にはペナルティが課されることになります。
小規模宅地特例に限らず、相続税の申告にあたっては素人では判断の難しい制度が多く潜んでいますので、相続税のことはできるだけ相続税専門の税理士に相談するようにしましょう。
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