愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。
20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
JA(農協)が販売している火災保険に建物更生共済、略して建更(たてこう)という商品があります。
この建更の最大の特徴は共済掛金(保険料)の一部は掛け捨てとなっており、一部は積立金となっていることです。
この積立金は満期時に満期共済金として受け取ったり、中途解約によって解約時までの積立金を受け取ることができます。
今回は、そんな建更の契約者を変更した場合の税金について解説していきます。
相続によって契約者を変更した場合
建更の契約者が死亡した場合には、相続人が建物更生共済契約を引き継ぐことになります。
前述のとおり建更は共済掛金の一部が積立されており、もし解約する場合には解約返戻金を受け取ることができます。
そのため、建更の契約者が死亡した場合には、被相続人の死亡日に建更を解約した場合の「解約返戻金相当額」が相続税の対象となります。
相続税の申告あたっては農協で死亡日時点の「解約返戻金相当額等証明書」の発行を依頼して相続税申告書に添付することになります。
生前に契約者を変更した場合
生前対策の一環で、建物を子供に贈与することがあります。
このときに建物に掛けていた建更の契約者も子供に変更する方がいらっしゃいます。
この場合、契約者変更時点の解約返戻金相当額の贈与があったものとして贈与税の課税があると考えられます。
贈与税の課税対象ではないという意見の方もいます。
いずれにしろ、実際には課税漏れが結構多いのではないかなと思っています。
満期共済金を受け取った場合
契約者(掛金負担者)が満期共済金を受け取った場合には、満期共済金が一時所得として課税されます。
これは、一般的な生命保険契約と同じ取り扱いです。
問題は、契約者(掛金負担者)と満期共済金の受取人が異なる場合です。
建更の場合、受け取った満期共済金に対して一時所得として受取人に課税が行われます。
え!!!!?
と、税金に詳しい方だと思うかもしれません。
ご存じのとおり、一般的な生命保険契約の場合、契約者(保険料負担者)と満期保険金の受取人が異なる場合、受取人に対してみなし贈与があったものとして贈与税の課税が行われます。
ここが建更と一般的な生命保険契約の取り扱いが大きく異なるところなので、注意が必要です。
では、なぜ建更と生命保険契約で「掛金(保険料)負担者≠満期金受取人」の場合の課税関係が異なるのか?
その秘密は相続税法に隠されています。
相続税法5条では
「保険事故が発生した場合において、保険金受取人が保険料を負担していないときは、保険料の負担者から保険金等を相続、遺贈又は贈与により取得したものとみなす」
旨規定しており、保険料を負担していない保険契約者の地位は相続税等の課税上は特に財産的に意義のあるものとは考えておらず、契約者が保険料を負担している場合であっても契約者が死亡しない限り課税関係は生じず、契約者変更があったとしてもその時点では贈与税を課税しないこととされています。
しかし、契約者と満期共済金の受取人が異なる場合の建更については相続税法5条2項の「傷害を保険事故とする損害保険契約」に該当しないため、上記の相続税法5条によって満期共済金を贈与により取得したものとみなされないこととなります。
つまり!!!
建更の満期共済金はみなし贈与の対象外ということです!
相続税でも贈与税でもなければ、残りの選択肢は一つ。
所得税の対象です!
この場合の建更の満期共済金は所得税基本通達34-1(5)を使ってJA(農協)からの贈与として一時所得になるという考え方もありますが、契約者と満期共済金受取人が異なっていたとしても所得税法施行令184条4項2号の損害保険契約等に基づく満期共済金に該当するため結果として一時所得に該当することになります。
ちなみにこの時の一時所得の計算では満期共済金を受け取った者以外の者が支払った掛金の額も、一時所得計算上の支出した金額に算入することができます。
まとめ
建更の積立金部分は契約から時間が経てばたつほど多額の金額が積み立っていることが多いようです。
相続税の申告漏れや満期時の処理方法を誤らないように注意が必要です!
建更の取り扱い方法に困った場合には是非、税理士事務所レクサーにご相談下さい。
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