愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。
20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
今回は相続手続きを楽にするために絶対に活用した方が良い制度「法定相続情報証明制度(ほうていそうぞくじょうほうしょうめいせいど)」について解説します。
この制度は平成29年5月29日から始まったばかりの制度なので一般の方にはまだまだ馴染みのないものかもしれませんが、正直この制度を知らないと損です!使わないと損です!
ということで、「法定相続情報証明制度」のことをまずは知ってみて下さい!!
法定相続情報証明制度を使うと相続手続きがこう変わる!
相続の手続きで代表的なものには銀行や証券会社といった金融機関の預金払い戻しや名義変更、解約であったり、法務局での土地・建物の名義変更があります。
これらの相続手続きに必要なものが相続人が分かる書類。
そう、被相続人の出生から死亡までの戸籍と相続人の現在の戸籍です。この書類をまとめて戸籍一式(こせきいっしき)と呼んだりします。
従来の相続手続きでは戸籍一式を1部入手して複数の機関で使いまわしをする方法と、戸籍一式を複数部入手して一気に手続きを進める方法がありました。
戸籍一式を1部だけ入手して相続手続きを行う場合には、「一つ目の機関に戸籍一式の提出を行い、チェックを受けた後に返却をうけ、また次の機関で同じ作業を行う。」というように一つ一つ順番に手続きを進めていくことになります。中には、郵送により手続きを行う機関もありますのですべて終わらせるのに数か月かかってしまうことがありました。
こんなイメージです。
戸籍一式が1部だけしか用意していない場合にはこのように時間が多くかかってしまうというデメリットがあるため、早く手続きを終わらせたい場合には戸籍一式を複数部入手して複数の機関に対して同時に手続きを行うという手法もありました。
ただし、戸籍一式の取得には通常、数千円から一万円程度の費用が掛かるため複数部揃えようと思うと数万円という金額になることも・・・。
従来の戸籍一式を使った相続手続きのデメリットをまとめるこうです!
① 時間がかかるため効率が悪く、面倒
② 早く終わらせようと思うと戸籍取得費用がかさむ
法定相続情報を活用するとこの二つのデメリットがなくなるんです。
法定相続情報を活用する場合でも初めに戸籍一式を入手することに違いはありませんが、戸籍一式を入手したら法務局で「法定相続情報証明(法定相続情報一覧図の写し)」を発行してもらいます。
当然、法務局が発行する書類ですので相続人に間違いがないことの証明がされています。
さらにすごいのが、「何枚でも無料で発行してくれる!」ってことなんです。
(税理士、弁護士、司法書士などに依頼する場合には報酬がかかることがあります。)
「法定相続情報証明」が複数あれば様々な機関の相続手続きを同時に進めることができるんです。しかも、法務局が相続人に間違いがないことを証明しているため各機関もチェックが楽になり手続きが早くなるので一石二鳥です!
法定相続情報証明を発行してもらうために必要な書類
① 法定相続情報一覧図
税理士、弁護士、司法書士等の資格者が代理で作成することも可能。
自信で作成する場合には『法務局HP』をご参考に!
② 亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸除籍謄本
③ 亡くなった方(被相続人)の住民票の除票
④ 相続人全員の戸籍謄抄本
⑤ 相続人全員の住民票
(注)任意です。法定相続情報証明に住所を記載しない場合には不要ですが、記載した方が良いでしょう。
⑥ 申出人(相続人を代表して法定相続情報証明の発行を依頼する人)の氏名・住所がわかるもの
例1 運転免許証のコピー
例2 マイナンバーカードの表面のコピー
例3 住民票
(注)例1,2の場合には、コピーの空いたスペースに「原本と相異ありません。」と記載し、署名押印する。
⑦ 代理で手続きを行ってもらう場合には委任状等のその他の書類
平成30年4月1日以後に提出する相続税申告はこう変わる!
これまでの相続税申告では被相続人の出生から死亡までの戸籍と相続人の戸籍(二つ合わせて戸籍一式なんて呼んだりします。)の原本を添付しなければならないこととされていましたが、平成30年4月1日以後に提出する相続税申告書にはこれらの書類をコピー機で複写したものでもオッケーになりました。
そのため、従来は、相続税申告で税務署に提出する用と相続税申告後に相続手続きをする用や遺産分割協議書と一緒に保管する用として2部用意することのあった戸籍一式が1部だけ取得すれば事足りようになったんです!
戸籍取得にかかる費用がちょっと軽減♪
しかも、平成30年4月1日以後に提出する相続税申告書には「法定相続情報証明」の添付でもオッケーになりました!こちらも原本でもコピーでもどちらを添付してもオッケーなんです。
税理士の立場的には、相続税の申告書はかなり分厚くなることもあり、非常に重たいので、戸籍一式ではなく「法定相続情報証明」だけでオッケーになったのはかなりありがたいです!!
平成30年4月1日以後の相続税申告書に提出する戸籍関係をまとめるとこうなります。
① 戸籍一式(原本)
② 戸籍一式(コピー)
③ 法定相続情報証明(原本)
④ 法定相続情報証明(コピー)
どれでもオッケー♪お好きなものを使う!
相続税申告の必要がある方の注意点
注意点① 記載内容
相続税の申告書の添付書類として法定相続情報証明を使用する場合には、続柄が実子か養子か分かるように記載されていなければなりません。
法定相続情報証明制度が始まった当初は続柄に実子か養子かの区別がなく、単純に子とだけ記載されていましたが平成30年4月1日以後は実子であるか養子であるかを明記することになります。
具体的には、長男、長女、養子のように記載します。
また、養子の方については法定相続情報証明にプラスαで戸籍の謄本又は抄本の添付も必要です。
なお、養子についてプラスαの書類が必要になる理由は、相続税の計算に影響があるためです(基礎控除額や生命保険金の非課税枠の計算基礎となる法定相続人の数や、二割加算の規定など)。
注意点② 記載形式
「法定相続情報証明」には下の図のように図形式になったもの以外に、列挙形式といって被相続人と相続人を列挙しただけのものがあるのですが、相続税申告書の添付書類として使用可能なのは図形式のものだけです。
図形式に限定されているのは、列挙形式の場合には相続人の法定相続分が確認できないケースがあるためで、相続税の計算に必要な情報に不足が生じてしまいます。そのため、法定相続分の確認が行える図形式の「法定相続情報証明」を使用することになります。
まとめ
相続手続きはちょっとした一工夫をするだけでめちゃくちゃスムーズに進められるようになります。
法定相続情報証明制度と言われても聞き馴染みがないかもしれませんが、本当に使い勝手の良い制度ですので是非活用して楽してスムーズに相続手続きを進められるようにしましょう!
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