愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。
20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
相続はこの世の中に生きているすべての方に発生する問題です。
しかしながら、相続について学校では教えてくれませんし、相続はデリケートな問題ですから社会に出た後でも誰も教えてはくれません。
相続は法律上の手続きですので小難しいことも多く理解を深めるためには一筋縄ではいかないのが現実です。
そこで、この記事では相続で大きな失敗をしないために最低限知っておきたい相続の基礎知識をめちゃくちゃ分かりやすく説明していきます。
相続とはなんなのか?
相続とは、「亡くなった方(被相続人)の財産を残された親族(相続人)が引き継ぐこと」です。
相続は人が死亡することによって開始され、被相続人が所有していた一切の権利・義務が相続人に引き継がれます。
権利・義務というのは簡単に説明するとプラスの財産とマイナスの財産のことで、プラスの財産は例えば土地・建物や預貯金、株式などがあります。マイナスの財産には借入金や未払の税金などがあります。
ただし、資格や雇用契約、生活保護などの被相続人の一身に専属していたものは権利・義務の対象にはならず、相続ができません。
相続人には誰がなれるのか?
相続人になる人は民法(みんぽう)という法律で決められています。
一般的には相続人のことを法定相続人(ほうていそうぞくにん)と言うこともありますが、どちらも同じ意味だと思ってください。学問上は微妙に違うのですが、相続を理解する上では特に気にしなくても全然問題ありません!
しかも!
民法では相続人になれる優先順位まで決めているんです!
この理由を知れば相続の理解度は格段に高まりますし、相続税上の特典を理解することにも役立ちます!
では、なぜ法律で亡くなった方の財産や債務を引き継ぐ人や優先順位まで決めているのか?
それには大きく分けて二つの理由があります。
① 相続紛争を減らし、相続手続きが早く終わるようにするため
② 残された家族の生活を守るため
下のイメージ図で想像してみてください。
「全員が相続人だったらどうなる?」
このイメージ図に出てくる人たちは親族であることには間違いありません。
でも、全員が相続人だったらとんでもないことになりますよね!?
下手したら顔や名前も知らないかもしれないし、相続人を確定させるだけでめちゃくちゃ大変です!
まして、これだけの人数がいる中で誰が何をもらうのかを決めるのはとんでもない労力が必要になってしまいます。
そこで!相続できる人数をある程度制限して、しかも優先順位まで決めてしまおうということになります。
では順番をどうするか?
と、その前に質問です。
皆さんが守りたいのはどっち?
① 一緒に暮らしている家族
② 会ったこともない親戚
ほとんどの方が①の一緒に暮らしている家族を守りたいと思いますよね!?
民法という法律も全く同じ考え方でできるだけ身近な人を守るという考え方がベースにあります。
例えば、一緒に暮らしている家族や、育ててくれた両親、血縁関係の近い兄弟といったところです。民法ではその中でも亡くなった方の生活により密接に関わっていたと思われる順番で相続の優先準備を決めています。
「生活」という面で考えると、まず最優先に考えられるのが配偶者です。
配偶者というのは夫や妻のことで、法律上の婚姻関係にある人のことです。そのため、離婚した前夫や前妻には相続権がありません。また、内縁関係にある者(婚姻届を提出していない事実婚状態の夫婦)も相続権がありません。
ここでポイントになるのは亡くなった方に配偶者がいる場合にはその配偶者は常に相続人になるということです。
配偶者と同じように子供も優先度が高くなります。
一言で子供といっても、子供には様々な形態があります。
嫡出子(ちゃくしゅつし)
嫡出子とは法律上の婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子供のことです。離婚した先妻との間に生まれた子供も嫡出子ですので、間違わないように注意が必要です。
非嫡出子(ひちゃくしゅつし)
非嫡出子とは法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子供のことです。非嫡出子は認知(にんち)することによって相続人となります。
認知とは、婚姻関係のない男女の間に生まれた子供を自分の子供であると認めることです。具体的には、任意・胎児・裁判・遺言の4種類があります。
養子
養子縁組をした者のことで、普通養子と特別養子があります。
普通養子は実親との親族関係を継続させたまま、養親との親族関係を新たに追加し養親の嫡出子としての地位を取得します。
特別養子は実親との親族関係を終了させ、養親の嫡出子としての地位を取得します。
一般的に相続の対策で使われているのが普通養子です。普通養子の場合には実親との親族関係が切れていないため実親と養親両方の相続人になります。
胎児
相続があったときに胎児であった者は、すでに生まれたものとして相続人になります。ただし、その胎児が死体で生まれた場合には相続人にはなりません。
いろいろな形態の子供がいるということが理解できましたか?
では、クイズです!!
子供の形態によって相続できる権利に差がある。〇か×か?
答えは!
×です!
以前は嫡出子か非嫡出子かによって相続できる権利に差があったのですが、平成25年9月5日以降の相続からは同じ権利になりました。
子供の次に民法で優先度が高い人が直系尊属(ちょっけいそんぞく)です。
直系尊属とは、亡くなった方の父母や祖父母のことをいいます。
ただし、父母と祖父母の両方が相続人になるのではなく、身近な順番で父母が優先的に相続人になり、祖父母より先に父母が亡くなっている場合に祖父母が相続人になります。
最後が兄弟姉妹(「きょうだいしまい」と書いて「けいていしまい」と読みます)です。
兄弟姉妹には二つの種類があり、全血兄弟姉妹と半血兄弟姉妹があります。全血兄弟姉妹は父母が同じである兄弟姉妹のことをいい、半血兄弟姉妹は父母のうちどちらか一方だけを同じくする兄弟姉妹のことです。
ちなみに、半血兄弟姉妹の相続分は全血兄弟姉妹の2分の1というルールになっています。
亡くなった方の遺産を誰が相続できるのか理解できましたか?
次はだれがどれだけの取り分があるのかを解説します!
相続できる権利はどれだけあるのか?相続分とは...!?
亡くなった方の遺産をどれだけ相続できるのかという取り分のことを相続分といいます。
相続分には二つの種類があり、指定相続分と法定相続分と呼ばれるものがあります。指定相続分は遺言書を使って定めた相続分のことをいい、法定相続分は民法が定めた相続分のことです。
法定相続分は配偶者がいるか否かなど、ケースによって異なります。
まずは配偶者がいるケースで考えてみます。
法定相続分の決め方にはルールがあり、最初に配偶者の取り分を決定します。
当然、相続人が配偶者だけの場合には、遺産の全部を配偶者が相続できます。ポイントはここから!
配偶者の法定相続分は、
①子供がいる場合には1/2
②子供がいなくて直系尊属がいる場合には2/3
③子供も直系尊属もいなくて兄弟姉妹がいる場合には3/4
です。
お気づきですか?
相続人の優先順位に応じて取り分が変わっていくんです!
おさらいすると、相続人の優先順位はこうでした↓↓
具体的には、常に相続人になれる配偶者は常に一番多くの相続分があり、その次は子供。
優先度が2番目の直系尊属はさらに取り分が減少。
兄弟姉妹は取り分が最も少ないという結果になっています。
つまり、相続人の優先順位が下がれば、取り分である法定相続分も少なくなるということです。
配偶者の相続分が決まったら次は配偶者以外の相続人の相続分を決めます。
例えば配偶者と子供が共同相続人になる場合には、最初に配偶者の法定相続分が1/2と決まり、残りの1/2を子供たちで均等に分配していきます。
例えば、子供が2人の場合には残った1/2の部分を2人で均等に分けるので、
1/2÷2人=1/4(1人あたり)
子供が3人であれば
1/2÷3人=1/6(1人あたり)
といった具合に法定相続分を決定します。
相続分の概要は理解できましたか?
各ご家庭によって相続人として登場する人物は異なりますし、登場した人物の相続分も異なります。
相続のことを考える際には、どんな登場人物がいるのか、相続人同士の関係性はどんな感じなのかを十分に理解する必要があります。
まずは、ご自身の現状を正しく把握して、どんな問題が潜んでいそうなのか、どうすればその問題を解消できるのかを考えましょう!
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