愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。
20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
養子縁組で基礎控除額を増やし、かつ、税率を引き下げる
養子縁組を使った相続税の節税はもっともポピュラーで低リスクな方法です。
相続税の計算は「遺産総額」から「基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」をマイナスした残りの部分に税金がかかる構造になっていますので、基礎控除の「600万円×法定相続人の数」の金額を増やしてしまおうという節税方法です。また、法定相続人の数が増えると相続税の税率区分も引き下がる効果がありますので、一石二鳥の方法と言えます。
一般的によく使われている養子縁組方法は孫を養子にするケースで下の図のようなイメージです。
孫を養子にする最大のメリットは、世代飛ばしで財産を相続させることができるため、子供にかかる予定だった相続税を免れることができる点です。ただし、一定の場合を除き、養子縁組した孫が財産を相続した場合には相続税が2割加算されることになりますので注意が必要です。
孫養子と同じくよく使われる方法として子供の配偶者を養子にすることもあります。
子供の配偶者と養子縁組するメリットは孫養子と違い、相続税が2割加算されることなく、相続税の節税ができることです。
一次相続の相続税をできるだけ節税したい場合には、子供の配偶者を養子にすることがオススメです。
逆に、一次相続で2割加算の適用により相続税が割増しになっても、将来の相続税まで考えたときにトータルで税負担を抑えたい場合には孫を養子にした方がいいでしょう。
では、実際に養子縁組による相続税の節税効果を検証してみます。
相続人が「配偶者+子2人」だった家庭が養子縁組で「配偶者+子3人(養子含む)」になった場合
このように、遺産総額の多寡によって効果にバラつきはありますが、養子縁組することで確実に節税効果を発揮することができます。
※孫養子の2割加算や配偶者控除については考慮せず、相続税の総額を記載しています。
養子縁組で相続手続きがスムーズになることもある!
通常、金融機関や役所は平日しかやっていませんし、相続人でなければ相続手続きはできません。
相続手続きの代行サービスも存在しますが、費用がかかってしまうので、家族内で養子縁組しておき、動ける人が手続きをするという考え方もあります。節税しながら、相続手続きのリスクを回避してくれる効果が養子縁組にはあるのです。
節税対策が修羅場(相続争い)にならないために!
養子縁組は役所に書類を提出するだけで簡単にできてしまう手続きですので、多くの方が利用しています。
最近では、相続税の節税のために養子縁組をするケースも多くあるのですが、この節税意識が相続争いをもたらすことがあります。
例えば、養子が一人増えるということは相続人が一人増えるということですので、一人ひとりの相続分が減ってしまうことになります。孫を養子にした場合で考えてみると、長男は自分の子供を両親の養子にするわけですから相続分が減ってもたいした問題にはならないでしょう。しかし、二男にとってみてはもともとあった相続分が養子縁組によって減少してしまうのです。
相続争いはちょっとした火種から始まるものです。
火種のきっかけを作らないためにも養子縁組をする前にせめて一言かけておくなどの配慮も必要かもしれません。
それまで円満だった家庭が相続を機に修羅場になってしまわないためにも、家族全体のバランスをみる配慮と事前の説明をしっかりとしましょう。
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代表税理士 伊東秀明
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