相続税申告で損する人はこれを知らない!絶対に知っておきたい相続税の実態
相続税申告は相続が起こってから10か月以内に税務署にしなければなりません。しかも、10か月以内に相続税の支払いまで完了しなくてはいけないというオマケ付きです!
ただ単に相続税申告をして納税をするのではなく、申告の仕方が厳密に決められていますし、申告書に添付しなければならない書類、添付した方が良い書類が存在するため、これを見極めながら準備を進める必要があります。
ご想像どおり、これってめちゃくちゃ大変なことなんですよ!
さらに、相続税は「10人の税理士がいれば10通りの相続税が計算される」と言われるとんでもない税金なんです。税理士が相続税申告書を作成しても何百万、何千万、下手したら何億円という差がでることもあります。
税務調査に入られる税理士、入られない税理士という差もあります。
今回は、そんなとんでもなく複雑な相続税申告の仕方と押さえどころについてご説明します。
どーせだったら支払う税金は安くしたい!税務調査なんて来てほしくない!
知ってる人が得をする!そんな情報を伝えていきます。
相続税申告する前に知っておくべきこと!知らないと大損します!
年間20件以上は申告書の作成をしている相続税に強い税理士でなければ相続税申告書の作成に慣れている人はいません。相続税申告の準備は相続専門ではない一般的な税理士が進めるだけでも大変な作業なんです。ましてや素人の方が身内を亡くしてから10か月以内に相続税の勉強をして、あれやこれやと書類を調べながら集めて準備を進めることはとてつもなく大変なことです。
正直なところ、できるだけ早い時期から税理士に依頼することがお勧めです。
でも、「どうやって税理士を探すのかわからない」「近所の人が自分で申告書の作成をしたみたいだから、私も自分でやってみよう」という方もいるでしょう。
そんな方のためにまずは知らないと大損する相続税申告のリスクをお話しします。
と、その前に!
問題です!!
申告した税金が少ないと税務署が取り立てに来る!〇か×か?
答えは
〇です!!
ほとんどの方が〇と回答したかと思います。
でも実はそれだけでは済まされないんです!
申告を間違えると罰金!?
ご存知ですか?
申告を間違えて支払う税金が少なかった場合には後日罰金がかかるってことを...!!
相続税の申告書を提出すると1年から3年くらいの間に税務署から電話がくることがあります。
そして後日、朝10時から夕方16時くらいまで税務署の調査官2名がいろーんなことを聞いてくるんです。
もちろん、初めの方は当たり障りのないことから会話が始まっていきます。
「亡くなった方はどんな性格だったのか」
「過去の職歴は」
こんな感じの内容がベターです。そこからすこしずつ核心に迫るような質問に発展していきます。
もう調査官の目がキラーンってなるのが分かるような質問がどんどん飛んでくるんですよ。
「お金の管理は誰がやっていたのか」
「通帳や印鑑はどこにしまっていたのか」
こんな具合に。
これ、俗にいう「税務調査(ぜいむちょうさ)」ってやつです。
配偶者や両親が亡くなって、悲しんでいる最中にあれやこれやと書類集めをして、やっと相続税の申告が終わったのに、今度は税務調査ですか...。しかも、追加の税金と罰金のオマケつきですかと...。
ガックリきちゃいますよね。
「ウチはそんなに財産がないから税務調査なんて大丈夫!」って!?
その考え方めっちゃ危険です!!!!
なぜかというと、相続税申告書を提出した方の20%以上の方のところに税務調査があるからです!
実に5人に1人の割合です!!
しかも、ひとたび税務調査の対象に選ばれると82%の高確率で追加の税金を支払っているのです。その平均金額は591万円です。
「ホントに!?」と思う方は国税庁の報道発表
(平成28事務年度における相続税の調査の状況について)
をご覧ください。
いかかですか?
ことの重大さに気づいて頂けましたか?
少なくともこの記事を必死に読んで頂いているあなたはこんな風に税務調査の対象に選ばれて、追加の税金と罰金まで払わされないようにして下さいね!
多く払いすぎるなんてもったいない!!
相続税還付(そうぞくぜいかんぷ)という言葉をご存知ですか?
これは「多く払いすぎた相続税を返してもらう」ということです。
全国でどのくらいの相続税が返還されているかご存知ですか?
なんと!
436億円もあるんです。
(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/sozoku2016/pdf/05_kazeijokyo.pdf)
それだけ多くの方が相続税を払いすぎているということです。
ではまたここで問題です。
「多く払いすぎた相続税は税務署が自動的に返してくれる。〇か×か?」
答えは!
×です!
「税務署が多く払いすぎていることを教えてくれるんじゃないの?」
そう思った方もいらっしゃるでしょう。
教えてくれることはありません!!!
なぜなら、相続税は申告納税方式(しんこくのうぜいほうしき)といって
「親族が亡くなりました。私の相続した遺産はこれだけで、納める相続税は〇〇円です。」
と税務署に申告書を提出して税金を支払います。
そのため、税務署が
「あなたが自分で(もしくは、あなたが依頼した税理士が)計算して納めた税金なんだから払いすぎてたなんて知らなーい。そんなところまで面倒見ませんよ!でも、支払った税金が足りなかったら追徴課税しに行きまっせー(-_-メ)」
と、なるんです。
払いすぎた相続税は自動的に返却されないのに、なぜ全国で436億円もの金額が還付されているのか?
それは「更正の請求(こうせいのせいきゅう)」という法律で認められた是正手続で、相続税の申告期限から5年以内に限り行うことのできる制度があるからです。
レクサーでもこの「相続税還付手続き」に力を入れていますのでどんな制度なのかをもっと詳しく知りたい方はコチラ(https://www.rexer.jp/refund.php)を見て頂くとして、年間436億円の相続税が返還されていると考えるとすごい金額ですよね。
しかしながらこの436億円というのは氷山の一角だと私は思っています。なぜなら、相続税の申告書を提出した方の全員がこの還付請求をしているわけではないからです。例えば、この相続税還付制度を知らなかったり、知っていてもやらなかったりする方がいるはずです。
相続税還付のことを知って、専門的な税理士に依頼しても還付された金額の25%~40%程度の報酬がかかります。
初めの申告からしっかりとした申告書の作成ができていれば支払わなくて良かった費用であることに変わりはありませんので、もったいないですよね。(もちろん、多く払いすぎたままにするより税金が戻ってきた方が絶対にお得ではありますが…。)
私は税務調査の対象にならないかな?大丈夫かな?
と心配な思いをながら毎日を過ごすのはよろしくないし、少なく申告してしまって罰金を払うのは本当にもったいない!もちろん、多く払いすぎるのももったいない。
初めから少なすぎず、多すぎない正しい金額の申告と税金の支払いができるにこしたことはないんです。
税務調査に入られる税理士。入られない税理士。
「ウチの申告書は税理士が作ったから大丈夫」
いいえ。そんなことはありませんよ!
税務調査に入られやすい税理士とそうでない税理士がいるんです!!
同じ税理士なのにどこに違いがあるのか?
それは「書面添付制度」を活用するか、しないかです。
「書面添付制度」とは税理士にしか作成することのできない書類で相続税の申告書に記載された内容が正しいという意見書のようなものです。税理士がこの書類を作成するためには税務署が気になるであろうことを予測して、事前に依頼者に質問をする必要があります。この予測が税理士の腕の見せ所でもあります。
これをしっかりやるだけで税務調査の対象にされる確率はグーーーンッと下がるんです。しかも、何か見つかっても罰金が軽減されるという嬉しいオマケつきです。
その代わり、税理士にのしかかってくる責任はめちゃくちゃ重いです...汗
事の次第によっては懲戒処分です。そう、職を失います。
それだけは嫌だ!懲戒処分は避けたい!
ということで、通常よりも重い責任がのしかかってくる書面添付制度をやらない税理士も多いんですよ。
いや、むしろほとんどの税理士がやっていない。
全国統計で書面添付制度を活用して相続税の申告書を作成しているのは僅か13.6%(平成27事務年度国税庁実績評価書参照)です。
驚くような低さです...。
税理士の私が言うのもなんですが、税理士って意外とお客様のことを考えてないんです。
書面添付制度の使用率がその証拠です。お客様にとって絶対に活用した方が良い制度(お客様に有利な制度)なんですから。
もし税理士に申告書の作成を依頼するときは
「書面添付制度は使ってもらえるのか?」
これは絶対に確認するようにしましょう!
いくら税理士に申告を依頼すると言っても最低限の自己防衛はしておきましょう!
まとめ
「相続税で税務調査に来て欲しい!」
「相続税を多く支払いたい!」
そんな方はいらっしゃらないと思います。
自分ではよくわからないから誰でも良いから税理士に申告書の作成を頼んでおけば大丈夫!税理士さん、あとは任せた!
これでは相続税で損する可能性が高くなってしまいます。
自分を守るためにも税理士選びは慎重に!
税理士事務所レクサーには相続税のプロフェッショナルとしてプライドがあります。
自信をもって、あなたの安心な申告と円満相続をサポートします。
名古屋駅を拠点に全国のお客様への対応を行っておりますので、気になることがあればお気軽にお声かけ下さい。
税理士事務所レクサー
愛知県名古屋市中村区名駅3-21-4 名銀駅前ビル4階
0120-79-3636(個別相談予約ダイヤル)
代表税理士 伊東秀明
名古屋で相続相談するならレクサーへ!
付録:相続税申告書の種類と必要書類!
せっかくなので、実際に税務署に提出する相続税の申告書のなかでよく使われるものをご紹介します。
第1表(相続税の申告書)
相続税申告書の花形的な存在です。これを使わない申告書は絶対にありません。
ここには被相続人(亡くなった方)の氏名、生年月日、住所、死亡日や相続人(相続で財産を引き継ぐ人)の氏名、マイナンバー、生年月日、住所、続柄、職業、電話番号などを記載します。
誰がいくらの財産を取得して、いくらの税金を支払うのかもここに記載します。
第2表(相続税の総額の計算書)
第1表と同じく絶対に使うものです。
ここには相続税の対象となる金額、基礎控除額を記載して相続税の総額がいくらになるのかを記載します。
第5表(配偶者の税額軽減額の計算書)
相続人の中に配偶者がいる場合に使用します。俗にいう「相続税の配偶者控除」の計算を行います。
なお、相続税の配偶者控除の上限金額は家庭によって異なり、配偶者については相続した遺産のうち法定相続分か1億6千万円のどちらか大きい金額まで相続税がかからないこととされています。
第6表(未成年者控除額・障害者控除額の計算書)
未成年者の場合には(20歳になるまでの年数×10万円)の金額分の相続税を安くしてくれます。
障害者の場合にも(85歳になるまでの年数×10万円)の金額分の相続税を安くしてくれます。ただし、特別障害者の場合には(85歳になるまでの年数×20万円)です。
なお、未成年者控除と障害者控除のいずれも未成年者本人や障害者本人から相続税を引ききれなかった特典部分がある場合には、その余った部分を扶養義務者が支払う予定だった相続税から差し引くことができます。
第9表(生命保険金などの明細書)
被相続人の死亡により受け取った生命保険金がある場合にはここに記載します。
なお、「法定相続人の数×500万円」までの非課税枠が用意されています。
第10表(退職手当金などの明細書)
被相続人の勤務していた会社などから退職金を受け取った場合に使用します。
タイトルが「退職手当金など」となっている通り、退職手当金、功労金、退職給付金など様々な種類があります。よく間違えられやすいものとして弔慰金がありますが、弔慰金でも実質的に退職手当金と同等のものがありますので注意が必要です。
退職手当金等も生命保険金と同様に「法定相続人の数×500万円」の非課税枠があります。
第11表(相続税がかかる財産の明細書)
申告書の後ろの方にあり、ひっそりとしていますが絶対に提出する書類です。
財産目録(遺産の内訳書)と思っていただいて結構です。被相続人が残した財産のすべてを事細かくここに列挙していきます。
第11表にはひとつひとつの財産の相続税評価額を記載する箇所も設けられています。相続税評価額の計算に際しては財産の種類ごとにつぎのような書類を集めるとスムーズです。
土地や建物などの不動産を評価するための必要書類
固定資産税・都市計画税課税明細書(名寄帳)
全部事項証明書(土地・建物の登記簿謄本)
公図、地積測量図、配置図のいずれか
住宅地図
路線価図や評価倍率表
都市計画図
道路種別台帳と各都道府県や市町村の条例
現地の写真
賃貸借契約書
現金・預貯金を評価するための必要書類
預貯金の残高証明書
定期預金・定期積金等の経過利息計算書(解約利率で計算したもの)
過去5年分の以上の預金通帳
家族名義の預金通帳
上場株式を評価するための必要書類
残高証明書
自社株などの非上場株式を評価するための必要書類
過去3年分の法人税の申告書
過去3年分の決算書
株主名簿
生命保険金を評価するための必要書類
死亡保険金支払通知書
保険証書のコピー
その他に注意したい財産を評価するための必要書類
建物更生共済の解約返戻金証明書
ゴルフ会員権
自動車の買取査定書やインターネット等の情報
書画・骨董の鑑定書
第11・11の2表の付表1(小規模宅地等についての課税価格の計算明細書)
すべての方が提出するものではありませんが、かなり多くの方が使用します。
自宅や貸家敷地、事業用敷地といった土地の評価額を引き下げる特典です。小規模宅地等の特例の注意点としては小規模宅地等の特例を使用できる土地を相続した相続人全員の同意が必要であることと、どの土地について特例を適用するか選択した後は原則として変更できないことです。
第13表(債務及び葬式費用の明細書)
相続税を計算するうえで財産からマイナスをすることができる借入金や葬儀費用を記載します。次のような資料を集めてできるだけ多くのマイナス項目を見つけることが相続税を安くするポイントの一つです。
借入金残高証明書
借入金返済予定表
公租公課の納税通知書又は納付書(所得税、消費税、市県民税、固定資産税、償却資産税、個人事業税など)
病院の領収書
老人ホーム等の介護施設の領収書
介護用品等レンタルの領収書
その他相続後に支払った費用の請求書や領収書
葬儀費用やお寺、納骨、火葬などの領収書
第15表(相続財産の種類別価額表)
申告書の一番最後です。最後にして絶対提出する書類のひとつです。
第11表と第13表に記載した内容の小計を記入するところだと思ってください。第15表の集計が完了したらその合計を一番初めの第1表に転記していくような役割です。
ほかにも相続税の申告書の様式はたくさんありますが、ここでご紹介したのはかなり高い確率で使用するものばかりですので、知っておいて損はないかと思います。
相続税の申告書に記載された内容に不備があったり、様式が漏れていたりすると税務署に悪い印象を与えかねません。
税務署の調査官も人間です。本来ならば「この項目は合っているな。漏れがないな。」とチェックで済んでいくものが漏れや間違いがあることによって「ほかにも間違いがあるはずだ!追徴課税するために間違いを探そう!」と意識が変わってしまします(人間だもの)。
そうなってしまったが最後。相手はプロです。
税務調査があり、時間がとられた挙句に追徴課税。こんな結末になってしまいます。
漏れなく!間違いなく!正確な申告書を提出して円満に相続が完了するといいですね!
税理士事務所レクサーはいつでも納税者の見方です。
笑顔で相続を終えられるよう全力でお手伝いすることをお約束します。
この記事を書いた人
相続専門税理士 伊東 秀明
愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。 20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
伊東 秀明 プロフィールはこちら