【債務控除Q&A】個人事業主である被相続人の従業員に支払った退職金は債務控除の対象になる?
事業を営んでいると直面するのが税金の問題です。
それは毎年の確定申告だけでなく、相続が発生した際にも重く負担がのしかかるものです。
今回は相続税を安くするために絶対に見落としたくない「債務控除」のなかでも、個人事業主である被相続人の従業員に支払った退職金が債務控除の対象になるのか名古屋の相続専門税理士がQ&A形式で解説します。
個人事業主として飲食店を経営するAが亡くなりました。
被相続人Aの相続人は、サラリーマンであったこともあり、その飲食店を閉店し、被相続人Aが雇用していた従業員全員を解雇し、退職金を支払いました。
この退職金は、相続税の計算上、債務控除の対象になりますか?
相続税の計算上、債務控除の対象となる債務は、「確実と認められるもの」に限定されています。
今回の事例のように、被相続人Aの死亡によって事業を廃止して被相続人が雇用していた従業員を解雇する場合において、その従業員であった人に退職金を支払っているときは、その退職金は、被相続人の生前事業を営む期間中の労務の対価であり、被相続人の債務として確実なものであると認められます。
そのためこの退職金は、相続税の計算上、債務控除の対象になります。
【相続税法第13条第1項第1号】
相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下この条において同じ。)により財産を取得した者が第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
二 被相続人に係る葬式費用
【相続税法第14条第1項】
前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。
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この記事を書いた人
相続専門税理士 伊東 秀明
愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。 20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
伊東 秀明 プロフィールはこちら