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駐車場は小規模宅地等の特例が適用できるのか?

税理士事務所レクサー、相続税専門、名古屋

相続税を計算する上では小規模宅地等の特例が使えるか否かで納税金額が数百万円以上変わることがあります。

 

今回はそんな小規模宅地等の特例の中でも貸駐車場について「貸付事業用」として小規模宅地等の特例が使えるのか否かについて解説します。

 

 

小規模宅地の特例(貸付事業用)とは

貸付事業用の小規模宅地等の特例とは、簡単に言うと被相続人(亡くなった方)やその親族が不動産の貸付事業を行っていた場合に、その貸付事業に使用していた土地の評価額を200㎡まで50%減額した評価額で相続税の計算を行うことができる特例です。

 

イメージはこんな感じです。

貸付事業用、小規模宅地等の特例、イメージ

いかがでしょう。

 

仮に相続税の実効税率が30%だったとしたら、節税効果は750万円ということになります。

 

相続税は累進税率(るいしんぜいりつ)といって財産が多くなればなるほど税率が高くなるシステムを採用していますので、亡くなった方の財産の多寡に応じて節税効果は異なりますが、小規模宅地等の特例が使えるか否かによってこんなにも相続税の負担を軽減することができるんです!

 

 

貸付事業用で小規模宅地等の特例を使う条件

貸付事業用で小規模宅地等の特例を使うことができれば、土地の評価額が最大で50%減額されるため、その節税効果は絶大です。

 

しかし、小規模宅地等の特例を使うためには細かな条件がありますので、2パターンにわけて条件を解説していきます。

 

パターン① 被相続人が不動産の貸付事業を行っていた場合

一般的なケースはコチラの場合です。

 

①被相続人が不動産の貸付事業を行っていた土地であること

②相続税の申告期限まで所有し続けること(所有要件)

③相続税の申告期限まで事業を継続し続けること(事業継続要件)

④相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された土地でないこと

※ただし、相続開始時点において3年以上不動産の貸付事業を行っている場合は④の要件は除外されます。

 

パターン② 被相続人の親族が不動産の貸付事業を行っていた場合

認知度が低く、適用の難易度も高い小規模宅地等の特例がこのケースです。

 

①被相続人と生計を一にする親族が貸付事業を行っていた土地であること

②相続税の申告期限まで所有し続けること(所有要件)

③相続税の申告期限まで事業を継続し続けること(事業継続要件)

④相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された土地でないこと

※ただし、相続開始時点において3年以上不動産の貸付事業を行っている場合は④の要件は除外されます。

 

 

貸駐車場は小規模宅地等の特例が使えるのか?

さて、本題の貸駐車場に小規模宅地等の特例は使えるのか?

 

 

答えは、ケースバイケースです!!

 

小規模宅地等の特例が使える土地の大前提は

「建物又は構築物の敷地の用に供されている」

ことです。

 

駐車場の場合にはアスファルト舗装のものや自走式設備の整ったもの、砂利敷きや土をならした程度のものなど様々です。

 

そのため、その駐車場が構築物にあたるのかどうかが問題となります。

 

アスファルトやコンクリートの舗装は構築物と考えることができるため小規模宅地等の特例は適用可能ですが、土をならした程度の場合には構築物と認められず小規模宅地等の特例は使えない判断されます。

 

一番問題となるケースが砂利敷きです。

 

砂利敷きが構築物とされるためには、しっかりと砂利を敷くことです。

凹んだ部分に砂利を入れた程度や、砂利敷きから相当の年数が経過して砂利がほとんどなくなっているような場合には構築物と判断されないといえるでしょう。

 

 

豆知識(使えるのって土地だけ!?)

小規模宅地等の特例を使うことができるのは宅地等です。

では、宅地等とはなんなのか?

 

さて、問題です。

 

 

被相続人は借りた土地の上にアパートを建てて不動産の賃貸事業を行っていました。この場合に、被相続人が持っていた(貸家建付)借地権について小規模宅地等の特例は受けられるでしょうか?借地権であることを除けば、小規模宅地等の特例を使う条件はすべて満たしていると仮定して考えてみて下さい。

 

 

答えは、「使える」です!!

 

 

宅地等と記載しているとおり、小規模宅地等の特例は宅地そのものと宅地の上にある権利についても使うことができるのです。

小規模宅地等の特例について規定した租税特別措置法69条4にはこのように書かれています。

 

宅地等とは「土地又は土地の上に存する権利をいう」

 

この土地の上に存する権利の代表例が借地権ということになります。

 

また、マンションの一室を購入して、賃貸している場合の敷地権についても同様に小規模宅地等の特例の適用対象となります。

 

 

一番注意したいこと!!

小規模宅地等の特例には「当初申告要件」があります。

 

「当初申告要件」とは、相続税の申告期限までに相続税の申告を行い、かつ、小規模宅地等の特例をどの土地に適用するのかを表明して初めて適用を受けられるという要件です。

 

つまり、相続税の申告期限を過ぎてしまった期限後申告などでは使うことができない制度なのです。

 

また、一度どの土地に小規模宅地等の特例を適用するのかを選択した後は原則として変更ができません。

 

どの土地に使うのが最も節税になるのかまで検討して、当初申告を行うように気を付けましょう!

 

 

まとめ

小規模宅地等の特例は適用要件が非常に細かく、難易度の高い特例です。

 

複数の土地で貸付事業を行っているような場合にはどの土地から優先的に小規模宅地等の特例のを使うのが得なのかを検討するようにしましょう。

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この記事を書いた人

相続専門税理士 伊東 秀明

愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。 20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。

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