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遺言書の内容に逆らった遺産分割協議に贈与税はかかる?かからない?

税理士事務所レクサー、名古屋、遺言書、遺産分割協議、贈与税

最近の相続では亡くなった方が遺言書を残しているケースが増えてきました。

 

ところが、「遺言書とは違う遺産分割を行いたい」というケースも珍しくはありません。

 

今回は遺言書とは異なる内容の遺産分割を行った場合の相続税・贈与税について解説していきます。

遺言書を無視した遺産分割協議はできるの?

亡くなった方が遺言書を作成していた場合、本来であれば亡くなった方の意思を尊重して遺言書通りの財産分配を行いたいところですが、それが相続人の利益にならない場合もあり得ます。

 

遺言書の内容とは異なる遺産分割を望むこともあるかと思います。

 

では、遺言書があっても遺言書の内容とは異なる遺産分割協議を行うことができるのでしょうか?

 

 

答えは「できる」です。

 

ただし、その場合には

相続人全員の合意

が必要となります。

 

例えば、相続人の一人が自分にとって不利な内容の遺言書だったからといって遺言書の内容に反する遺産分割を望んだとしても、ほかの相続人が遺言書通りの遺産分けを望むのであれば遺言書の内容に従うことになります。

 

では相続人全員の合意があり、遺言書の内容に反した遺産分割を行う場合の税金はどうなるのでしょうか?

 

 

 

遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合の課税関係

例えば、こんなケースを考えてみましょう。

 

遺言書に

「土地A(5000万円)は長男、土地B(4000万円)は二男に相続させる」

と記載があった。

 

しかしながら、長男は土地Bが欲しい。次男は土地Aが欲しいとします。

 

先ほどご説明したように遺言書があったとしても、相続人全員の合意があれば遺言書の内容に沿わない遺産分割を行うことができますので

「長男は土地B(4000万円)、二男は土地A(5000万円)」

を相続するという遺産分割を行いました。

 

ここである疑問が生じます。

 

遺言書の内容と遺産分割の内容では

「長男は1000万円分もらった財産が少ない」

逆に

「二男は1000万円分もらった財産が多い」

ということになります。

 

「長男から二男に1000万円贈与したことにならないの?贈与税が発生するのでは?」

 

 

いきなり結論ですが、

遺言書の内容と異なる遺産分割協議を行った場合であっても贈与税は発生しません。

 

これは、遺言書によって財産の遺贈を受けた相続人がその遺贈を事実上放棄したうえで、他の共同相続人と遺産分割を行ったと考えられるからです。

そのため、相続税の計算は遺言書による財産の分配に応じるのではなく、共同相続人全員で行った遺産分割協議に応じて算定することになります。

 

あくまでも相続に伴う財産の分配ですので、ある相続人から他の相続人への贈与とは考えませんので、贈与税も発生しないということになります。

 

国税庁もHP上で情報を公開しています。↓↓

『遺言書の内容と異なる遺産分割をした場合の相続税と贈与税』

 

 

遺言書の内容とは異なる遺産分割を検討した方がいいケースとは?

相続税には「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」という制度があります。

 

配偶者控除とは被相続人の配偶者については相続した財産が

法定相続分か1億6000万円まで

は相続税を免除するという優遇措置です。

 

配偶者控除について詳しく知りたい方はコチラの記事をご覧ください。

 

一見すると、

「相続税が安くなるなら配偶者控除を使えるだけ使ったほうがトク」

なように感じますが二次相続まで考慮するとそうでもないケースが大半です。

 

論より証拠です。実際にこちらの事例をご覧ください。

税理士事務所レクサー、名古屋、遺言書、遺産分割協議、贈与税

 

税理士事務所レクサー、名古屋、遺言書、遺産分割協議、贈与税

 

このように一次相続と二次相続のトータルで考えてみると配偶者控除を使えば絶対にトクとは言い切れないことが分かるかと思います。

 

ただし、使わなければ良いというものでもありません。

 

コチラのケースをご覧ください。

税理士事務所レクサー、名古屋、遺言書、遺産分割協議、贈与税

 

このケースでは部分的に配偶者控除を使っています。結果、配偶者控除を上限いっぱい使うケースと配偶者控除をまったく使わないケースよりも相続税が安くなっていることが分かります。

 

このように二次相続までのトータルの相続税負担を考えると配偶者がどれだけの財産を相続するのかは納税金額に大きな影響を与えるため、慎重に財産の配分を検討して、配偶者控除のメリットをどの程度受けるのかを決定しなければなりません。

 

遺言書ではこのトータルの相続税負担までシミュレーションできていないことがほとんどです。

 

もし、二次相続までの相続税負担を考慮したいような場合には遺言書の内容に従わず、遺産分割を行った方が、トータルの相続税が安くなる可能性があります。

 

 

まとめ

円満で円滑な相続を実現するために遺言書は必須アイテムといえます。

 

しかしながら、今回ご紹介したように遺言書通りに財産の分配を行うと相続税で損してしまうケースも存在します。

遺言書を作成する際には相続税専門の税理士に相談し、税金上最適な遺言案を検討したうえで作成されることをお勧めします。

 

税理士事務所レクサーでは相続税シミュレーションを行ったうえで最適な遺言書作成をサポート致しますので、税金で損しない遺言書の作成をご希望の方は是非ご相談ください。

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この記事を書いた人

相続専門税理士 伊東 秀明

愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。 20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。

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