愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。
20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
相続税の対策としてよく使われるものに現金の贈与があります。
現金などの財産を贈与でもらった場合には贈与税という税金がかかるのですが、110万円贈与といって毎年110万円までの贈与であれば贈与税が非課税とされます。
何もしないまま相続を迎えてしまうと財産に相続税がかかってしまうため、生前から次の世代に少しずつ現金を贈与しておき、相続税の対象から除外してしまうという節税方法です。
※相続等で財産を取得した人が相続前3年以内に贈与を受けた財産は相続税の対象になります。
贈与税の計算方法
贈与税は1年単位の税金で、毎年1月1日から12月31日までの間にもらった贈与の金額から非課税枠110万円を差し引いた残りの部分に課せられます。
なお、贈与税の税率は誰から贈与を受けるのかによって変化しますので、注意が必要です。
20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合の税率表
上記以外の場合の税率表
一番危険!!今すぐやめた方が良い111万円贈与
相続税の節税に関心のある方なら111万円贈与という言葉を聞いたことがあると思います。
これはあえて贈与税の非課税枠である110万円を超えて贈与することで贈与税の申告・納税(1,000円)をするという贈与方法です。
巷では、この「111万円贈与をして毎年千円の贈与税を支払っておけば税務署に突っつかれることはない!」と言われたりしていますが、まったくもってそんなことはありません。
むしろ税務調査を誘発するような危険な行為です。
なぜなら贈与という行為は契約行為であって「あげます!もらいます!」の意思表示が必要であり、特に親族間の間ではその意思表示がうやむやなままなされることが多いためです。
法律に詳しい方からすると贈与契約は口頭でも成立すると反論されそうですが、法律上はそうであっても税務上はそんなに単純な問題ではありません。
なぜなら税務上は課税の公平性を重要視する一面があり、親族間の贈与を口頭で成立したことを認めてしまうと税金逃れが横行してしまうリスクがあるからです。
過去には納税者と国で争われた事例の中には親族間だからこそ第三者からみても契約が成立している条件を整える必要があるとされています。
税務署からすると贈与そのものがいけない行為だと言っているのではなく、贈与するのならば形式を整えなさいという立場です。
確かに111万円贈与が否認されるケースは数少ないでしょう。
しかしながら、実際に否認されている方がいる現実の中でまだその方法を続けますか?
110万円の贈与で申告をしない贈与方法でも税務署に突っつかれない方法はあります!
同じ節税をするのであれば、確実で間違いのない方法を選んでやりましょう!
現金を生前贈与するやり方
①贈与契約書を作成する(現金贈与は印紙不要)
②通帳から通帳にお金を振り込む
※現金での受け渡しは絶対にしないこと!
③記帳した通帳に「贈与」とメモを書き込む
一歩進んだ戦略的な生前贈与
例えば相続税の税率が高い人は110万円贈与をするよりも310万円の贈与をして、贈与税20万円を支払った方がトータルで得になることもあります。
実際に、子供2人で財産1億円の方のケースで検証してみましょう。
このように、このまま何も生前対策をしないで相続を迎えた場合には770万円の相続税が課税される方でも子供二人に110万円贈与を5回行えば相続税は605万円まで減らすことができ、結果として165万円の節税に成功します。
ここまでが通常の贈与を使った節税対策です。
一歩進んだ戦略的な贈与では一番下のケースのように子供に310万円の贈与を5年間かけて合計5回行います。
もちろん、310万円を贈与すると贈与税の基礎控除額110万円を超えてしまうので毎年一人当たり贈与税20万円がかかってしまい、5年間の二人の合計で200万円の贈与税を支払うことになります。
ところが、相続税の対象となる財産が圧縮されることで相続税を305万円まで減らすことができ、結果として贈与税と相続税の負担合計が505万円になりますので、通常の110万円贈与よりもさらに100万円多く節税することが可能になるのです。
この戦略的な生前贈与は相続税と贈与税の税率構造を活用した節税手法です。できる限り、節税対策の計画とスケジュールを決め、正確な財産把握をしたうえで実行することをオススメします。
みなさんも是非!
将来の相続に備えて、戦略的に節税をしてみてください。
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代表税理士 伊東秀明
もっと詳しく111万円贈与が危険な理由を知りたい方はコチラの記事をご覧ください!(画像をクリック)
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