遺留分侵害額の請求を受けて不動産を引き渡した場合の譲渡所得
【事例】
一郎さんと二郎さんの二人の子供がいる太郎さんは令和3年7月に死亡した。
太郎さんは生前に遺言書をのこしており、その内容は「全財産を一郎に相続させる。」というものだった。
その内容に納得のいかなかった二郎さんは一郎さんに対して遺留分侵害額請求を行い、一郎さんが従来から所有していた不動産の引き渡しを受けることとなった。
この場合、一郎さんは譲渡所得の申告が必要なのでしょうか?
【誤った取扱い】
二朗さんに不動産を引き渡す行為は相続手続きの一環として行ったものなので、譲渡所得の申告は不要と判断した。
【正しい取扱い】
通常、遺留分侵害額の請求があった場合には金銭で支払うことになっています。
しかしながら、全額を金銭で支払うことができない場合など、実務上は遺留分侵害額の全部または一部の支払いを金銭ではない資産の移転をもって履行することがあります。
今回のような事例では、一郎さんはその不動産を引き渡すことによって「消滅した債務の額」に相当する価額によりその資産を譲渡したことになります。
なお、二郎さんの取得費は「消滅した債権の額」に相当する金額となります。
例えば、遺留分侵害額が2000万円であったなら、一郎さんは2000万円が譲渡収入となり、二郎さんは2000万円が取得費になります。
根拠法令(所得税基本通達33-1の6)
民法第1046条第1項《遺留分侵害額の請求》の規定による遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求があった場合において、金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産(当該遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求の基因となった遺贈又は贈与により取得したものを含む。)の移転があったときは、その履行をした者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債務の額に相当する価額により当該資産を譲渡したこととなる。
根拠法令(所得税基本通達38-7の2)
民法第1046条第1項の規定による遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求があった場合において、金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産の移転があったときは、その履行を受けた者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債権の額に相当する価額により当該資産を取得したこととなる。
愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。
20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
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