愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。
20歳の頃、実家が相続税で失敗したことをきっかけに相続税専門の税理士を目指し、26歳で開業。
生命保険金は
法定相続人の数×500万円まで相続税が非課税
になるということは多くの方がご存知かと思います。
では、そんなあなたに質問です!
生命保険金の受取人は誰になってますか?
「妻です!」
「夫です!」
という方が多いんじゃないですか?
それ、実は損してるんですよ!!!
今回は、そんな生命保険金の受取人が誰になっているのかで損得が決まる相続税のはなしをしようと思います。
生命保険金には非課税枠がある
生命保険金の非課税枠のことを知らない方のためにもう一度、説明します!
生命保険金は
法定相続人の数×500万円
までは相続税が非課税とされています。
例えば、父と母、子供2人の家族があったとしましょう。
父が亡くなった場合には法定相続人は母と子供2人の合計3人です。この場合には、
法定相続人3人×500万円=1,500万円
までの生命保険金は非課税になります。
もし、父が亡くなって生命保険金2,000万円を受け取ったというような場合には先ほどの非課税枠1,500万円を超えた500万円部分については相続税がかかるというようなイメージです。
現金のまま持って亡くなるとそのまま税金が取られてしまうけど、生命保険であれば非課税枠があるからその分お得ですね!
と、ここまでは
「そんなこと知ってる!」
という方もいるでしょう。
そんな方のためにもう一歩進んだ人ごとの非課税になる金額の考え方を解説します。
生命保険金の非課税になる金額は人ごとに違う!?
いきなりですが、問題です!
「三郎君は父を亡くし生命保険金500万円を受け取りました。相続人は三郎君と母の合計二人です。母が受け取った生命保険金の金額に応じて三郎君の非課税金額は変化する?〇か×か?」
答えは〇です!
生命保険金の受取人が複数いる場合には、
非課税になる金額は受け取る生命保険金の割合に応じて分配する
ことになっています。
算式にするとこうです。
つまり、非課税になる金額は一人500万円までということではなく、
非課税枠を相続人みんなで分け合うことになるんです。
図解してみましょう!
いかがですか?
このように、生命保険金の非課税枠は一人一人の相続人に500万円ずつ与えられたものではなく、家族全員に与えられて分け合うものなんです!
極端な話、上の例のように相続人が三郎と三郎の母だけの場合で、三郎だけが生命保険金1,000万円を受け取って、母は生命保険金を受け取らなかったようなケースでは三郎は生命保険金1,000万円がまるまる非課税になるのです!
だって、生命保険金の非課税枠は家族全員に与えられたものを分け合う仕組みなんだから。
そして、くどいようですが、相続人が複数いる場合には法律で決められた計算式でそれぞれの人ごとに使える非課税の金額を配分計算するのです。
生命保険金の受取人は子供にしなさい!
相続税の節税対策で生命保険金を活用するのであれば、受取人は配偶者(夫や妻)ではなく子供にした方が圧倒的にお得です!!
なぜかって!?
配偶者は最低でも1億6千万円までなら相続税がもともと非課税だからです。
この配偶者については相続税を軽減してあげるよという制度を
「配偶者の税額軽減」
というのですが、相続税の世界では夫婦は長年一緒に財産を築いてきたのだから、一緒に築いた財産に税金を掛けるのは可哀そうだ!ということで設けられています。
配偶者の税額軽減は配偶者の法定相続分か1億6千万円のどちらか高い金額までの相続なら税金を支払わなくていいよ!だけど、それを超えた分については税金払ってね!という制度です。
つまり、配偶者は生命保険金の非課税枠を使わなくても、もともと相続税がかからなかったり、軽減されているんです。
そんな優遇されている配偶者ですから生命保険金の非課税枠の恩恵を配偶者に使ってしまうののはもったいないんです!
せっかくなので、
どのくらいもったいないか検証してみましょう!
例えば、父と母、子供2人の家族があったとしましょう。
財産2億円を持っていて、生命保険金1,500万円に加入しようと考えています。
このとき受取人を母にすると相続税はこうなります。
母の相続税は0円です。
子供一人ずつの相続税は約628万円です。
では次に、子供が750万円ずつ保険金を受け取るとしましょう。
その結果がコチラ。
母の相続税は当然0円です。
子供一人ずつの相続税は約534万円です。
どうですか?
子供たちはどちらのケースでも5,000万円をもらうにもかかわらず、
生命保険金の受取人を子供にした方が約188万円もお得という結果が出ました。
逆に、生命保険金の受取人を配偶者にするとそれだけ損するということです。
もし、相続税の節税をするために生命保険に入るのであれば配偶者ではなく子供を受取人にした方が絶対にお得!ということが分かって頂けたと思います。
もちろん、受取人を子供にしておいた方が良い!というのは相続税の節税対策で保険を使う場合です。
例えば、若い夫婦やまだ働いている現役世代の方たちは自分にもしものことがあったときに配偶者の生活が維持できるように受取人を配偶者にしておくことが大切なこともあります!今回説明しているのは、あくまでも相続税の節税対策で保険を使う場合と考えてくださいね!
早速、ご自身の入っている保険の保険証書を確認して受取人がどうなっているのか見てみましょう!
保険の営業マンや銀行員でもこのことを知らない人がほとんどですので注意しましょう!
もし、配偶者が受取人になっていたら保険会社に連絡して受取人を子供に変更する手続きをしてもらいましょう。意外と簡単にできてしまいます!
もちろん、受取人を変更することに税金はかかりませんし、税務署から何か言われることもありませんのでご安心下さい♪
生命保険金の受取人は相続人にしないとめちゃくちゃ損します!
かなり多くの方が勘違いしていますが、実は、生命保険金の非課税枠は誰でも使えるというわけではないんです!
生命保険金の非課税枠を使えるのは相続人だけです!
つまり、相続人以外の人が受け取る生命保険金は普通に相続税が取られるんです。
しかも、2割増しの相続税が取られるというオマケ付きです(;’∀’)
そのため、いくら可愛いからといって孫を受取人にしてしまったり、献身的に面倒を見てくれる子供の配偶者を受取人にすると非課税が使えないだけでなく、2割増しの相続税が取られてしまうのでかえって相続税が高くなってしまいますので注意して下さいね!
※養子縁組している孫や子供の配偶者については非課税が使えます!
まとめ
意外と簡単そうな生命保険を使った相続税節税ですが、受取人選びで全然違う結果になることを分かって頂けましたか?
簡単に節税できそうだけど、意外と奥が深いんです...
ということで、これから節税対策で保険を使う方は受取人の選び方に気を付けてください。
また、既に生命保険に入っている方は受取人で損をしないか確認してみて下さい!
愛知県名古屋市を拠点に活動する相続専門家集団レクサーの代表税理士。
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